ダービースタリオンの世界 ライバル馬の系譜

雑談・雑記

ダービースタリオン96(ダビスタ96)の初期牝馬のモデルとなった牝馬の系譜が今に繋がっているかを以前に調べましたが、それに引き続き、今度は、同様にダビスタ96でライバル馬として登場してきた実在の名牝の系譜を調べてみたいと思います。

ダビスタ”96”なので登場してくるライバル牝馬は、80年代中盤から90年代前半に活躍した牝馬たちとなります。最近競馬を始めた方にはなじみがないかなと思いますが、中にはウマ娘に登場して人気になっている牝馬も含まれており、その縁で何頭かは知っているという方もいるのかなと思います。

ライバル馬として厳選された実力馬や個性的な牝馬たちで名牝の系譜といわれるような牝馬も含まれており、確実に現在まで系譜をつないでいると思いますが、それがような拡がりをみせているか、あるいは予想に反して途絶えているなんてことがあるのか見ていきたいと思います。

クラシック戦線に出てくるライバル牝馬

まずは、クラシック戦に出てくるライバル馬を取り上げていきたいと思います。

いわゆる牝馬三冠といわれる”桜花賞”、”優秀牝馬(オークス)”、”秋華賞” ・・・ではなく、この当時は”エリザベス女王杯”の3つのレースですね。

それでは、牝馬クラシック3冠の順番通り桜花賞、優駿牝馬(オークス)、エリザベス女王杯の順で実際にこのレースを制覇したライバル馬たちをみていきたいと思います。

シャダイカグラ

経歴などの紹介

まずは、桜花賞勝ち馬の観点から取り上げていきたいと思います。
ということで、1頭目は、シャダイカグラです。

シャダイカグラは、1989年の桜花賞勝を1番人気を背負い勝利しています。

このレース、スタートの出遅れが響き後方からの競馬となりましたがハイペースなレースをまくってアタマ差で差し切り勝ちを収めています。

ハイペースを見切った武豊騎手が、わざと出遅れて後方待機したなんて話があったりしましたが、本人がたんに出遅れただけと後に述懐していたので、理想的なスタートではなかったが勝ち切れたということで、騎手の手腕とこの馬の地力が上位だったことを物語っていると思います。

続く優秀牝馬(オークス)でも1番人気に推されますが、まさかの伏兵ライトカラー(10番人気)にクビ差で敗れるという波乱となりましたが、直線しっかりと伸びて2着に来ており、この世代ではやはり実力上位だったことを証明しました。

牝馬3冠最後のエリザベス女王杯は、脚部不安で順調に調教ができない中、出走、レース中に故障を発症したものの、そのままゴールまで完走を果たしました。結果は大差のしんがり負けで、このレースが引退レースとなりました。

【血統】

【戦績】

系譜

本題の系譜の連なりを見てみたいと思います。

想像通りの系譜の拡がりを見せており、JRA、地方競馬で多数の現役登録場が確認できました。

まとめて記載するとながくなるので、牝馬の産駒毎で区切って記載しています。

尚、末尾にJRAのロゴがついている産駒は、現在(2024.1時点)、JRAで現役登録されている産駒となります。同様にNARのロゴがついている産駒は、地方競馬で現役登録されている産駒となります。

一部、引退しているのかどうか定かではない産駒もおり、ここ1年出走がない産駒に関しては、マークをつけていません。あしからずご了承ください。

さぁそれでは、行ってみましょう!

<系統①:エイブルカグラ>

4頭いる牝馬の産駒の中で最初に生まれたエイブルカグラの系譜です。

この系譜が最も拡がりを見せており、JRAおよび地方競馬にて多数の現役産駒がいます。

また、デビュー前の産駒も多数おり、この後の系譜の拡がりにも期待できそうです。

<系統②:ゴールドウインク>

続いては、ゴールドウインクの系譜ですが、こちらは残念ながら次世代(シャダイカグラの孫の代)で途絶えてしまっているようですね。

<系統③:メイショウカルメン>

お次は、メイショウカルメンの系譜です。

こちらは、現在まで系譜がつづいています。

現役は全て地方競馬での登録となっており、JRAに登録されている産駒はいませんでした。

<系統④:オプティマルマザー>

最後は、オプティマルマザーの系譜です。

残念ながらオプティマルマザーは産駒無しとなります。

シスタートウショウ

経歴などの紹介

続いて2頭目は、1991年の桜花賞馬のシスタートウショウです。

この年の桜花賞は、シスタートウショウの他に、イソノルーブル(1番人気)、ノーザンドライバー(2番人気)、スカーレットブーケ(3番人気)、ミルフォードスルー(5番人気)と実力馬が揃う混戦模様で、シスタートウショウは4番人気でした。

このレース、1番人気のイソノルーブルがレース前に落鉄するアクシデントもあり5着に沈む中、シスタートウショウは稍重馬場をものともせずレースレコードで快勝しました。

続くオークスでは、1番人気に推されてのレースとなりましたが、4番人気のイソノルーブルにハナ差届かず2着となりました。

出遅れて後方からの競馬となりましたが、直線での追い込みから勝ち馬にハナ差に迫るという、やはり地力は上位であることを見せつけました。

この後は、屈腱炎を発症したこともあり、半年の休養を経て復帰し、重賞戦線で健闘しますが、勝ち切るところまでは行けず12戦目のオールカマーを最後に目標としていた天皇賞(秋)に出走することなく脚部不安により引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

それでは、シスタートウショウの系譜の連なりを見てみたいと思います。

牝馬の産駒は4頭おり、それぞれ区切って掲載したいと思います。

尚、末尾にJRAのロゴがついている産駒は、現在(2024.1時点)、JRAで現役登録されている産駒となります。同様にNARのロゴがついている産駒は、地方競馬で現役登録されている産駒となります。

さぁ、どうなっているのか? さっそく見てみましょう!

<系統①:シンディトウショウ>

1頭目のシンディトウショウの系統ですが、シンディトウショウは、メジロマックイーンを父に持ち活躍を期待されていましたが、出走することなく病死となっていました。残念。

<系統②:シャララトウショウ>

つづいてはシャララトウショウの系統です。

こちら次々世代(シスタートウショウのひ孫の代)まで続いていましたが、そこで途絶えていました。

<系統③:ルナトウショウ>

続いてルナトウショウの系統です。ブライアンズタイムを父に持ち系統としての伸びを期待しましたが、次の世代(シスタートウショウの孫の代)で途絶えていました。

<系統④:シリウストウショウ>

最後は、シリウストウショウの登場です。

やっとここで、系譜が続いていることを確認できました!

現在JRAで現役登録されているのは、トニトゥルス(牡4歳 美浦 新開厩舎)の1頭ですが、地方競馬では何頭か現役馬が存在しています。

これからデビューを控えている産駒もおり、今後の系譜をつなぎ・拡げていってくれることを期待したいです。

ニシノフラワー

経歴などの紹介

3頭目は、1992年の桜花賞馬のニシノフラワーです。

ニシノフラワーは、桜花賞以外に阪神3歳牝馬ステークス(現 阪神ジュベナイルフィリーズ)とスプリンターズステークスとGⅠを3勝しました。

桜花賞では、前走のチューリップ賞でアドラーブルに敗れたこともあり圧倒的ではないものの1番人気に推されての出走となりました。結果としては、前走で敗れたアドラーブルに3馬身半差をつけての快勝となり3歳牝馬戦(現2歳戦)のトップとしての実力を示しました。

次走の優秀牝馬(オークス)も1番人気での出走となりますが、このあとのエリザベス女王杯も含めてマイル(1600m)より長い距離は、この馬の適性距離ではなく3連敗となります。

その後短距離路線を取り、スプリンターズステークス、マイラーズカップと連勝します。

連勝して迎えた安田記念では、道中折り合いを欠いたり、他馬にぶつけられる不利もあり見せ場なく敗戦、続く宝塚記念も距離の壁もあり敗戦と2連敗を喫します。

休養明けの秋初戦のスワンステークスで3着と復調の兆しを見せますが、つづくマイルチャンピオンシップでは、不運にも不良馬場となりスピード勝負のニシノフラワーは、強みを消される形で13着という2桁着順に沈みます。

引退レースとなったスプリンターズステークスに連覇をかけて臨みますが、サクラバクシンオー、ヤマニンゼファーという牡馬2頭の短距離名手に届かず3着(3番人気)となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

ニシノフラワーは産駒をコンスタントに送りだしていますが、系譜を継ぐ牝馬は、ニシノミライとニシノマナムスメの2頭となります。この2頭の系統の伸びをそれぞれ分けて掲載しています。

尚、末尾にJRAのロゴがついている産駒は、現在(2024.1時点)、JRAで現役登録されている産駒となります。同様にNARのロゴがついている産駒は、地方競馬で現役登録されている産駒となります。

快速娘の系譜を見てみましょう!

<系統①:ニシノミライ>

まずはニシノミライの系統です。

現役登録場やデビュー前の産駒が複数存在し、系統の伸び、ニシノフラワーの系譜がこの後もつづいていきそうだと確認できました。

そしてのここには、中山大障害(JGⅠ)勝ち馬のニシノデイジー(現 牡8歳 美浦 高木登厩舎)がいました。系譜を繋ぐだけでなく、しっかりと活躍馬も出していますね。素晴らしい。

<系統②:ニシノマナムスメ>

つづいて、ニシノマナムスメの系統です。

こちら、JRAの現役登録場が3頭確認できました。(2024.1時点)

なかなかの勢いですね。またデビュー前産駒も複数頭おり、こちらもニシノミライ同様に系譜を繋いでいける可能性を感じました。素晴らしいですね。

ベガ

経歴などの紹介

4頭目は、1993年の桜花賞馬のベガです。

桜花賞勝ち馬の紹介の最後にして優駿牝馬(オークス)の勝ち馬の1頭目となります。

冒頭に記載の通り、ベガは桜花賞と優駿牝馬(オークス)のクラシック2冠を達成しています。

まず1冠目の桜花賞ですが、デビュー当初は、オークス向きで1600mの距離は短いと考えられていたそうですが、前哨戦のチューリップ賞で阪神3歳牝馬ステークスの勝ち馬であるスエヒロジョウオーを含むメンバを相手に2着に3馬身差をつける快勝劇を演じ桜花賞では単勝2.0倍の圧倒的1番人気に推されています。

結果は、先団好位でレースを進め直線抜け出したベガが追いすがるユキノビジン(5番人気)、マックスジョリー(2番人気)をクビ差抑えて1冠目を手中にしました。

次走の優駿牝馬(オークス)は、初の長距離輸送と熱発などのアクシデントもあり、1番人気ながら桜花賞のときのような断トツの人気にはならなかったが、フタをあてみれば2着ユキノビジン(3番人気)に2馬身近くの差をつけての快勝となりました。

この後は、フランスのロンシャン競馬場で開催されるヴェルメイユ賞に出走する計画もありましたが、歩様に不安が生じ回避となり放牧に出されます。

放牧先での蹄のアクシデントもあり、3冠目のエリザベス女王杯の出走が危ぶまれる状況となりましたが、何とかぶっつけ本番での出走までこぎつけました。

エリザベス女王杯では、調整が順調でなかったことが響き1番人気を上り馬のスターバレリーナに譲りますが、僅差の2番人気に推されメジロラモーヌ以来の史上2頭目の牝馬三冠の期待を背負っての出走となりました。

結果としては、伏兵のホクトベガ(9番人気)と好位からレースを進めたノースフライト(5番人気)に届かず3着となりましたが、ぶっつけ本番の中、健闘しています。

このあと、有馬記念、大坂杯、宝塚記念と出走しますが完全な復調はできず引退レースとなった宝塚記念では、故障(指骨骨折)の影響からか13着と大敗し、このレース後に引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

ベガは、2006年に放牧中の事故と推測される事態でくも膜下出血を発症し息を引き取ることとなりました。その年までに5頭の産駒を送り出しており、牝馬の産駒は無くなる前年に誕生したヒストリックスター1頭のみとなります。

ヒストリックスターは、競馬ファンならご存じの方も多いかと思いますが後の桜花賞馬ハープスターの母となる牝馬ですね。

ヒストリックスター自身は、出走なしで繁殖入りしていますが、それ以外の4頭の牡馬は、日本ダービー馬であるアドマイヤベガを含む全馬がオープンクラスとなっており、繁殖牝馬としての質の高さがうかがえます。

尚、末尾にJRAのロゴがついている産駒は、現在(2024.1時点)、JRAで現役登録されている産駒となります。同様にNARのロゴがついている産駒は、地方競馬で現役登録されている産駒となります。

ということで系譜の拡がりがこの時点でもうあふれ出ている状況ですが、しっかりと見てみたいと思います。それでは、どうぞー

<系統①:ヒストリックスター>

ベガ唯一の牝馬の産駒であるヒストリックスターの系統です。

ご存じの通り桜花賞馬ハープスターを輩出していますが、それ以外にも多く産駒がJRAで活躍してり、現在でも現役の産駒が多く見られます。この後もベガの系譜が続いていくことが期待できそうです。

ライトカラー

経歴などの紹介

5頭目は、1989年の優駿牝馬(オークス)勝ち馬のライトカラーです。

デビュー戦を7頭立ての7番人気という最低人気ながら2着を4馬身離して快勝し、つづくクローバー賞も勝って連勝でオープン馬となります。

その後は勝ちに恵まれず、桜花賞は、直前の熱発の影響もあり7番人気の8着と見せ場なく終わります。

優駿牝馬(オークス)出走権をかけて前哨戦に出走。手薄なメンバーということもあり、2番人気に推されますが、直線よれる癖もあり5着の結果となりましたが、ギリギリで出走権を得ることができます。

迎えた優駿牝馬(オークス)は10番人気と人気薄でしたが、圧倒的な人気のシャダイカグラ&武豊をゴール前僅差で差し切り大金星をあげます。

その後前哨戦をつかいつつエリザベス女王杯に臨みますが7番人気8着と見せ場なく終わり、その後1年間の離脱を経て、スワンステークスで復帰を果たしますが、14番人気12着と奮わず、このレースを最後に引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

ライトカラーは、サクラユタカオーとの牡馬の初仔を送り出した後、2年目はミスターシービーとの2番目の仔の出産を間近にして骨折し、残念ながら予後不良となっていました。

ということで、5頭目にして初の系譜が途絶えているケースとなりました。

エイシンサニー

経歴などの紹介

6頭目は、1990年の優駿牝馬(オークス)勝ち馬のエイシンサニーです。

エイシンサニーは、初勝利までに4戦を要し重賞で勝ち星をあげるまでにさらに8戦(トータル12戦)を要し、ここまで出てきたライバル牝馬よりもクラシック戦線に名乗りを上げるまでに多くの経験を積んでいる。

そんな中迎えたクラシック初戦の桜花賞では、道中不利を受けながらも4着に入り、優駿牝馬(オークス)の優先出走権を得ることに成功している。

クラシック2戦目の優駿牝馬(オークス)では、5番人気でしたが、1番人気のアグネスフローラとの直線の叩き合いを制して見事に金星を挙げることに成功してます。

その後は、前哨戦を使いつつエリザベス女王杯に臨み3番人気に推されるも7着に沈みます。

その後は、鳴尾記念をつかいつつ有馬記念に出走しますが、16番人気14着と見せ場無く沈み、古馬となった初戦として目黒記念に出走しますが、10番人気10着と奮わず、このレースを最後に引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

エイシンサニーは、産駒10頭とコンスタントに産駒を送り出していますが、牡馬が多く、牝馬の産駒は2頭となっています。

<系統①:エイシンプリンセス>

まず1頭目のエイシンプリンセスの系統ですが、つい最近まで地方で活躍する産駒いたようですが、牝馬の系統が伸びることは無く、途絶えてしまっているようです。残念。

<系統②:エイシンホリデイ>

つづいて、エイシンホリデイの系統ですが、こちらも繁殖牝馬して実績を残している牝馬を確認することができず途絶えてしまっているようです。うーん残念。

ここにきて2頭続けて系譜が切れている結果となりました。

クラシック勝ち馬といえど系譜を繋ぐというのは、簡単な話ではないということを改めて思い知らされました。。。

イソノルーブル

経歴などの紹介

7頭目は、1991年の優駿牝馬(オークス)勝ち馬のイソノルーブルです。

新馬戦ではスタートがイマイチも、直線に入り先頭を奪い、そのまま1着入線で新馬勝ちとなります。

その後の条件戦および初重賞戦となるラジオたんぱ3歳牝馬ステークスをともに2着に3馬身半差をつける快勝劇を見せ、クラシック戦線に名乗りを上げます。

明け4歳になり、桜花賞のステップとしてエルフィンステークス、報知杯4歳牝馬ステークスを連勝し無敗でクラシック初戦の桜花賞を迎えます。

桜花賞では、単勝2.8倍の1番人気に推されての出走となりますが、ここでアクシデントが起こります。

観衆の大歓声に興奮した状態に追い打ちをかけるように右前肢の蹄鉄が落鉄していることが判明(人間でいえば靴やスパイクが脱げた状態)、コース上で装蹄作業を行うことを試みますが、興奮状態のイソノルーブルがそれを嫌がり、結局、装蹄しないままでの出走となってしまいます。

ここで落鉄の事実はアナウンスされましたが、装蹄しないまま発走となったことが後々まで尾を引く事件となります。

本題とは逸れるため、ここでは述べませんが、ご興味のある方はイソノルーブル事件で検索いただけるといろいろと記事が出てくると思います。

そんなこんなでいつも通りの力を出せなかったのか、桜花賞は5着どまりと初の敗戦となりました。

尚、この件でイソノルーブルに「裸足のシンデレラ」なんて異名がついているのを、この記事を作成する中で知りました。

そして迎えた優駿牝馬(オークス)では、桜花賞の敗戦や大外8枠20番も嫌がられ単勝12.1倍の5番人気での出走となります。

このレース、大外枠スタートから積極的に押し出してハナを奪ってスローペースに持ち込むと、先頭で最後の直線を迎え逃げ粘りを図ります。

大外から桜花賞馬のシスタートウショウが猛烈な追い込みをかけますが、ハナ差でかわし見事クラシック制覇を成し遂げました。靴を落とした(落鉄した)後に幸せな結果がまっていたというまさにシンデレラストーリーですね。

次走は、エリザベス女王杯に直行し、2番人気に推されます。このレース、スムーズに2番手を追走して直線を迎えたところで失速、まさかの16着と初の2桁着順に沈みます。

レース翌日に故障が確認され、治療にあたりますが回復することなくそのまま引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

イソノルーブルは、11頭の産駒を順調に送り出し、牝馬も6頭と多く送り出しており系譜の拡がりが期待できます。

それでは、裸足のシンデレラの系譜を見ていきましょう!

<系統①:イソノフラワー>

まずは、4番目にして牝馬の産駒として長女となるイソノフラワーの系統です。

こちらは、残念ながら次世代(イソノルーブルの孫の代)で途絶えてしまっていました。

<系統②:イソノキセキ>

気を取り直して2頭目は、イソノキセキの系統です。
こちら、続いていました!

ビットフォルが繁殖牝馬として登録されており、ロゴタイプとの初子の牝馬が存在しました。
今後も系譜を繋いでくれることを期待です。

<系統③:イソノフォーティ>

続きましてはイソノフォーティとります。

こちらは、残念ながら次世代(イソノフラワーの孫の代)で途絶えてしまっていました。

<系統④:イソノスワロー>

お次は、イソのスワローの系統です。

こちら、現役馬が多数確認でき、その中にJRAで6勝(2024.1現在)しているディアマンミノルがいました!

この系統は、今後も系譜を繋いでくれる可能性が高そうです!

<系統⑤:チェイルリー>

さて、お次はチェイルリーの系統です。

こちら地方で現役の牝馬の産駒が1頭確認できましたが、繁殖として登録されている産駒は今のところいなさそうです。

是非、現在、現役の牝馬の産駒に繁殖として系譜を繋いでいってほしいと思いました。

<系統⑥:イソノヒビキ>

ラストは、イソノヒビキです。

こちらは、残念ながら繁殖として登録なしとなりました。残念!

アドラーブル

経歴などの紹介

8頭目は、1992年の優秀牝馬(オークス)勝ち馬のアドラーブルです。

不良馬場となった新馬戦を2着に6馬身をつける快勝劇を見せたことで、中1週の強行軍で北海道へ遠征し札幌3歳ステークスに参戦し2番人気に推されますが9着に沈みます。

ちなみにこのレースの勝ち馬がこの後何度も対戦することになるニシノフラワー(4番人気)となります。

この後、クラシック戦線に臨むために条件戦に臨みますが、ダートが合わないなど勝ち星に恵まれず、桜花賞に参戦するための最後のチャンスとして前哨戦のチューリップ賞に臨みます。

このレースで2着以内に入らなければ、桜花賞の参戦が難しい状況の中、このレースには、再びニシノフラワー(1番人気)が参戦してきており、それ以外にものちにエリザベス女王杯の勝ち馬となるタケノベルベット(6番人気)など有力馬が多数参戦してきていました。

このレース、きついマークにあい最終コーナーで進路が開かない不利もあったニシノフラワーを後目に、アドラーブルはうまく進路を確保し、直線抜け出しをはかり2着ニシノフラワーに3馬身半をつけて快勝し、ここまで4連勝中のニシノフラワーに初めて土をつけました。

これで桜花賞へ優先出走権を手中に収めました。

迎えた桜花賞、1番人気は、騎手が牝馬クラシック戦に強い河内に乗り替わったこともありニシノフラワーが1番人気に推され、アドラーブルは、6番人気での出走となりました。

このレース、チューリップ賞の1着2着が入れ替わる形で、今度はニシノフラワーが2着アドラーブルに3馬身半差をつけて快勝しクラシック1冠目を手中に収めました。

アドラーブルは、このあと優駿牝馬(オークス)に直行し、再びニシノフラワー(1番人気)との対戦を迎えます。アドラーブルは、4番人気での出走となります。

このレース、直線勝負となる中、ニシノフラワーが伸びきれない中、武豊騎乗の2番に気のキョウワホウセキ、田原成貴騎乗の6番人気のサンエイサンキューが伸びてくる中、大外に持ち出してスパートをかけたアドラーブルが差し切り、見事クラシック2冠目を手中に収めました。

この後、夏は放牧にだされますが、放牧先で腰を痛めるなどのアクシデントがあり、前哨戦をつかえないままエリザベス女王杯へ出走も調整がうまくすすまなかった影響などから4着となり、このレースをもって引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

アドラーブルは、9頭の産駒を送り出しており、中には、京都記念(GⅡ)勝ち馬のエモシオンなど活躍馬を多数だしています。

牝馬の産駒は2頭と少ないですがティンバーカントリー、トニービンを父に持つ良血であり、拡がりが期待できそうです。

それでは、早速みてみましょう。

<系統①:アドラシオン>

まずはアドラシオンの系統です。

こちら以外にも、次々世代(アドラーブルひ孫世代)で途切れていました。

ちょっと意外です。残り1頭に期待です。

<系統②:アルウェン>

次はアルウェンの系統です。

こちらトニービン×ノーザンテーストの黄金配合だけあって期待しましたが、期待通り系統が続いていました。

JRA、地方ともに現役馬が確認でき、デビューを控えた産駒もいそうです。

この系統がアドラーブルの系譜を今後も繋いでいってくれそうです。

いやぁ、一安心です。

チョウカイキャロル

経歴などの紹介

9頭目は、1994年の優秀牝馬(オークス)勝ち馬のチョウカイキャロルとなります。

このチョウカイキャロルで、優駿牝馬(オークス)勝ち馬の紹介は終了となります。

ダートの新馬戦を1番人気で大差勝ちしたが、続くセントポーリア賞(500万条件戦)とフラワーカップを勝ちきれず、桜花賞の優先出走権を得ることが出来ず目標を優秀牝馬(オークス)に切り替え忘れな草賞に登録します。

この忘れな草賞を2着に4馬身差をつけて快勝し、見事に優駿牝馬(オークス)への道を切り開きます。

迎えた優駿牝馬(オークス)では、1番人気の桜花賞馬オグリローマンに次ぐ2番人気に支持されます

このレース2枠3番の内枠発走からスムーズに好位に位置取りしレースを進め直線抜け出しを図ったところ、後方から6番人気ゴールデンジャック、4番人気のアグネスパレードが迫るなかこれらを抑えて見事クラシック制覇を成し遂げます。

尚、1番に気の桜花賞馬オグリローマンは後方で見せ場無く12着敗退となりました。

夏は放牧休養を挟み、秋はエリザベス女王杯の叩きとしてサファイアステークスに出走、4番人気のテンザンユタカに逃げ切りを許してしまうものの2着として、エリザベス女王杯の本番に臨みます。

このレースでは、当時外国産馬(マルガイ)として、桜花賞、優秀牝馬(オークス)の参加資格がなく別路線を歩んできた女傑ヒシアマゾンとの初対戦となり、ヒシアマゾンが単勝1.8倍の圧倒的1番に支持され、チョウカイキャロルは単勝7.2倍とひきはなされた2番人気として出走しました。

このレース、まさにこの2頭の叩き合いとなり、人目には、差がないようにしか見えない状態での決着となりました。

通常よりも長い写真判定が行われた結果、わずか数センチのハナ差でヒシアマゾンに軍配が上がりました。単勝オッズからみればチョウカイキャロル負けて、なお強しという結果だったと思います。

その後、牡馬および古馬との初対戦となる有馬記念に出走し8着に沈みますが、あけて5歳になり、中京記念を勝利するなど中距離重賞で好走していましたが宝塚記念で12着に沈んだ後、病気を発症していることが判明し、そのまま引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

チョウカイキャロルは、8頭の産駒を送り出しており、牝馬は3頭存在します。

トニービン、ダンスインザダーク、フレンチデピュティと母父として成功している種牡馬を父としていることから系譜の拡がりを期待してしまいます。

それでは早速みてみましょう。

<系統①:チョウカイチャーム>

まずは、チョウカイチャームです。

トニービンとの仔なので期待したのですが、なんと競走馬としての実績なしで、繁殖としても登録されていないためこの系統は途絶えているようです。

血統面からは、かなり期待できそうな牝馬だったので残念です。

<系統②:ヒラボクキャロル>

つづいては、ヒラボクキャロルの系統です。
こちらは繋がっていました!

JRAの現役馬も確認できましたし、ヒラボクメルローが系譜を繋いでくれていました。

今後の産駒の活躍と系譜を繋ぐ牝馬の登場を期待したいです。

<系統③:ヒラボクフレンチ>

最後に、ヒラボクフレンチの系統です。

こちら地方に現役馬が確認できましたが、繁殖牝馬として登録されている産駒は、確認できていません。現役にヒラボクバーキンが繁殖として系譜をつないでいってくれることを期待したいです。

サンドピアリス

経歴などの紹介

10頭目は、1989年のエリザベス女王杯勝ち馬のサンドピアリスとなります。

ここから牝馬クラシック最後のレースであるエリザベス女王杯の勝ち馬の紹介となります。

雨天、稍重ダート1200mの新馬戦を単勝11.8倍の6番人気ながら2着に4馬身差をつけて快勝するも、その後はエリザベス女王杯まで7戦して400万下の条件戦を1勝したのみであとは、すべて振るわず着外で900万下条件戦止まりの状態であった。

しかも勝利したのはいずれもダート戦で、芝では、3戦して9着、8着、9着と沈んでいます。もともと父母ともにダートを得意としており、サンドピアリスという名前も『砂の貴婦人』という点からもダートタイプを念頭とした配合だったと考えられます。

オープンクラスでもなく、芝が得意というわけでもないサンドピアリスでしたが、馬主と吉永調教師の若手騎手の有望株である岸騎手にGⅠを経験させたいという思いが合致、エリザベス女王杯の出走登録へと至ります。

通常で考えれば出走は叶わないところですが幸運にも出走抽選で見事出走権を獲得、GⅠの舞台へ立つことになります。

迎えたエリザベス女王杯、サンドピアリスは単勝430.6倍の20頭立ての20番人気と最下位でした。

そりゃそうですよね、芝レースで勝ち星どころではなく好走した実績もなく自己条件戦もクリアしてない馬なので、納得の最下位人気ですね。

このレース、1番人気は、桜花賞馬シャダイカグラでしたがレース中に故障を発症し、最下位に沈みます。

オークス馬ライトカラー(7番人気)、メジロモントレー(2番人気)などの実績馬、人気馬も軒並み伸びを欠くなか、最終コーナーで外から押し上げていったサンドピアリスが、直線に入りそのまま外側から強襲を掛け一気に差し切るという会心の競馬で勝利をもぎ取りました。

そして、このサンドピアリスのエリザベス女王杯での単勝430.6倍は、いまだにGⅠにおける単勝の最高オッズの記録を保持しつづけています。それだけ歴史的な快挙だったということですね。

ちなみにこのレース、2着に10番人気ヤマフリアル、3着に14番人気のシンビクトリーが入るという大荒れのレースとなりました。この当時に3連単があったらどの程度の配当がついていのか、、、

この後は、芝で9戦しますが、引退レースとなった京都記念の2着が最高着順で、勝ち星を挙げることなく引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

サンドピアリスは、9頭の産駒を送り出しており、牝馬は5頭存在します。

『砂の貴婦人』の系譜がどのようになっているのか、早速みてみたいと思います。

<系統①:サンドコロネット>

1頭目は、初産駒のサンドコロネットの系統となります。

9頭の産駒を送り出し、牝馬も5頭と申し分ないですが、残念ながら産駒の世代で途絶えていました。
次にいってみましょう。

<系統②:サンドピクシー>

つづいて、2番仔のサンドピクシーです。

こちらは、産駒無しで終了となります。うーん厳しい。

<系統③:サンドハーブ>

気を取り直して3頭目は、サンドハーブの系統です。

こちら、地方に現役馬がいました。

またデビューを控えた産駒も確認でき、系譜の繋がりを確認できました。ここから活躍馬が出てきて系譜が繋がっていくことを期待しましょう。

<系統④:サンドピクチャー>

つづいてサンドピクチャーの系統です。

こちら、サンドピアリスの系譜としては最も多い現役馬を確認できました。

JRA所属馬としても、サーティファイド、フラッシュケリーと2頭の現役馬を確認できました。

このあとデビューを控えている産駒も多数おり系譜の繋がり拡がりを期待できそうです。

<系統⑤:サンドヴィーナス>

最後にサンドヴィーナスの系統です。

こちらも現役馬を複数確認できました。

JRAには牝馬のミレヴィーナスが現役として登録されており、活躍を願うとともに、繁殖として系譜をつないでくれることにも期待したいです。

キョウエイタップ

経歴などの紹介

11頭目は、1990年のエリザベス女王杯勝ち馬のキョウエイタップとなります。

新馬戦は、9頭立てで単勝1.5倍の圧倒的な1番人気に推されハナを切ってレース進めますが、最後伸びきれず5着に敗退します。仕切り直しての未勝利戦、鞍上をこの後主戦騎手となる横山典弘を背に単勝1.5倍の1番人気に推され、こちらは見事に初勝利を飾ります。

その後桜花賞を目指して条件戦・前哨戦に臨みますが届かずで、目標を優駿牝馬(オークス)に切り替え前哨戦のサンスポ4歳牝馬特別(GⅡ)を見事に勝利し、優駿牝馬(オークス)出走を果たします

キョウエイタップは単勝8.5倍の4番人気で出走となりましたが、結果は6着と今一つの結果となりました。ちなみにこのレースの勝ち馬は、5番人気のエイシンサニーでした。

その後休養を挟み、エリザベス女王杯に向けて前哨戦を2戦するも6着、9着と奮わない結果でした。

そのためエリザベス女王杯本番では、単勝13.6倍の8番人気となりました。

このレース、キョウエイタップは後方集団からレースを進め4コーナーでスパートをかけると直線ばらけた馬群の中から内をついて鋭く伸びて先頭に立つと1番人気のトウショウアイに2馬身弱の差をつけて見事に最後の1冠を手中に収めます。

尚、このレースで初GⅠ制覇となった横山典弘騎手は、ゴール入線前に勝利を確信し右手を大きく突き上げたガッツポーズをとったことで戒告処分を受けています。らしいエピソードですね。

その後は、芝の中距離の重賞を中心に10戦して、ターコイズステークスの1勝どまりで引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

キョウエイタップは、9頭の産駒を送り出しており、牝馬は3頭存在します。

横山典弘騎手に初のGⅠ勝利をもたらしたキョウエイタップですが、牝馬の産駒はすべて繁殖として産駒を残しておらず、残念ながらキョウエイタップの直仔の世代で系譜は途絶えていました。

うーん、キョウエイシンガーはサンデーサイレンス系、エスプリタップはRoberto系で広がりを期待できる血統ではないかと思いましたが、やはり難しい世界ですね。残念です。

タケノベルベット

経歴などの紹介

12頭目は、1992年のエリザベス女王杯勝ち馬のタケノベルベットとなります。

新馬戦を1番人気に応えて快勝し、チューリップ賞やスイートピーステークと桜花賞、オークスの前哨戦で出走権を狙うも届かず、500万、900万と自己条件戦に出走し連勝します。

次に中日スポーツ賞4歳ステークスで重賞初制覇をねらって2番人気で出走します。スタートから好位で競馬を進めますが直線伸びず精彩を欠き7着に沈みます。

こうして桜花賞、優駿牝馬(オークス)の2冠とは無縁できたタケノベルベットですが、秋初戦を3冠目のエリザベス女王杯に定め出走にこぎつけます。

当然ながら人気は無く、単勝91.3倍の18頭立ての17番人気とブービー人気となっていました。

ちなみに18番人気はアネモネステークス勝ち馬のダンツセントーでした。このレース1番人気は前哨戦のローズステークス勝ち馬のエルカーサリバー、2番人気に条件戦を連勝し、前走府中牝馬ステークスで古馬相手に2着に入ったメジロカンムリ、桜花賞馬ニシノフラワー(6番人気)、オークス馬アドラーブル(5番人気)といったメンバがいました。

レースは、ハナをきったメジロカンムリをはじめ有力馬の多くが先団から好位でレース進める中、タケノベルベットは後方集団でレースを進めます。最終コーナーの下り坂でポジションを上げていき、直線向いて先団に取り付くと、直線半ばから1頭だけ脚色が違う伸びを見せ2着メジロカンムリに3馬身半差をつけて快勝します。

尚、このレースから手綱をとった藤田伸二騎手にとって、これが初GIタイトルとなりました。

余談ですが、この年の牝馬クラシック3冠レースの勝ち馬は、この年のチューリップ賞の1~3着で占められているというのは、コアなファンの間では有名な話ですね。

チューリップ賞1着のアドラーブルが優駿牝馬(オークス)を、2着のニシノフラワーが桜花賞を、3着のタケノベルベットがエリザベス女王杯を制するという結果で、この年の牝馬クラシックはここできまってたんだなと。(あくまで結果論ですが。うまく言えないですが何かロマンがありますね。)

この後、鳴尾記念(GⅡ)において古馬相手に連勝を飾り、前走勝ちがフロックではなかったことを証明してみませます。古馬となって日経新春杯を3着、阪神大賞典を2着と古馬・牡馬相手に好走し実力を示します。

そうして迎えた天皇賞(春)では、5番人気と穴人気を見せますが、フケ(発情)もあり10着に沈み、このレースをもって引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

タケノベルベットは、10頭の産駒を送り出しており、そのうち9頭が牝馬という偏りを見せています。

系譜を継ぐ牝馬の産駒が多くいるということで系譜の拡がりが期待できます。

さてどうなっているでしょうか。早速みていきましょう。

<系統①:タケノハーモニー>

まずは、初仔のタケノハーモニーの系統です。

こちら現時点で地方競馬で2頭の現役馬がいることが確認できました。

牝馬としてはサンネイチャンががんばっており、是非系譜を繋ぐために活躍してほしいと願っています。

<系統②:タケノダナエ>

つづちえ、タケノダナエの系統です。

こちら、残念ながら途絶えているようです。

<系統③:タケノファンタジー>

つづいてタケノファンタジーの系統です。

こちらも、残念ながら途絶えてしまっているようです。

<系統④:タケノダンシング>

続いて、タケノダンシングの系統です。

こちらも、残念ながら途絶えてしまっているようです。

うーんダンシングブレーブという母系に入ってよさげな配合なので残念です!

<系統⑤:テイエムベルベット>

続いてテイエムベルベットですが、こちらも途絶えてますね。。。

うーん残念。

<系統⑥:ベルベティーン>

ベルベティーンも途絶えていました。。。

<系統⑦:タケノダイヤモンド>

ここから3頭は、繁殖実績なしでした。

いや、牝馬の産駒が多く期待したのですが厳しいです。

これが現実なんですかね・・・

<系統⑧:タケノチャーム

<系統⑨:ヴェロア>

ホクトベガ

経歴などの紹介

13頭目は、1993年のエリザベス女王杯勝ち馬のホクトベガとなります。
『砂の女王』の登場です

デビューまでには時間を要し4歳になってからのデビューとなります。迎えたデビュー戦、中山ダート1200mの新馬戦でハナを切って快走し2着(1番人気馬)に9馬身差をつけて勝利します。

尚、2着と3着の間も5馬身あいており、勝ちタイムも当時の準オープンクラスのタイムを叩きだしたことから、その快速ぶりがうかがい知れます。

つづいてダートの500万条件戦を2戦でクリアし、初重賞でかつ芝コースの調整となるフラワーカップ(GⅢ)に出走します。初の芝レースということもあり2番人気となるもこれを快勝、牝馬クラシック戦線に躍り出ます。

1冠目の桜花賞は、当時は圧倒的不利とされていた大外枠に入ったことも影響し5着に終わります。続くオークスでは、伸びきれず6着となります。尚、この両レースを制したのは、同じこと座の1等星から名前をとったベガとなります。

この後、休養を経て秋はエリザベス女王杯に向けて、前哨戦のクィーンステークス、ローズステークスを使い、それぞれ2着、3着とするも、GⅠで勝ち切る決め手に欠け上積みはないという見方が大勢をしめていました。

迎えたエリザベス女王杯では、そのような評価と前哨戦のローズステークスを勝ち3連勝とした上り馬のスターバレリーナ、3冠制覇がかかるベガの人気もあり、ここまで堅実な走りをみせていたにもかかわらず単勝30.1倍の9番人気という人気薄の状態でした。

このレース、ここまでの先行策から粘りこみを図る戦法から有力馬を見る形で中団で控える戦法に変える試みを敢行し、これが見事にハマり2着ノースフライトに1馬身半差をつけて快勝します。

ここまで勝てなかったベガに3冠最後で初めて土をつける形になりました。

「ベガはベガでもホクトベガです!」という実況が有名になりましたね。

こうしてGⅠ馬となったホクトベガですが、この馬は、この後、古馬になってからが本当の輝きを発揮するステージとなります。

明け5歳になり、札幌記念(GⅢ)を勝利しましたが、翌6歳の年も含めてGⅢ、GⅡで好走したり凡走したりを繰り返す状況が続きます。

そして転機が訪れます。7歳になって迎えた川崎競馬場で行われたJRA・地方の交流重賞である川崎記念の勝ちからスタートしたダート路線の交流重賞の7連勝です。

途中、エリザベス女王杯(古馬にも開放された現在の形のエリザベス女王杯)と有馬記念の敗戦がありますが、ダート交流戦の重賞連勝は9連勝まで伸びます。向かうところ敵なしで、この過程で『砂の女王』の異名で認知されるようになります。

そして、運命のドバイからの招待が届きます。第2回開催となるドバイワールドカップから参加の打診が届き、ホクトベガはこのレースを引退レースとして、レース後には欧州の一流種牡馬と交配し帰国させるプランが立てられます。

引退後のプランまで描かれて出走したドバイワールドカップの最終コーナー、直線に向けた出口でホクトベガが転倒、後続場との接触もあり、左前脚を複雑骨折し、回復の見込みなしでその場で安楽死処分が取られました。

砂の女王は砂の上でその生涯を閉じることとなりました。

尚、主催者側から後日、「馬場のわずかなくぼみに左前脚をとられて転倒」と発表されました。

【血統】

【戦績】

系譜

経歴欄で記載の通り、レース中の事故による安楽死処分のため系譜を繋ぐことは叶いませんでした。

分かってはいましたが、ホクトベガの足跡をここに残したくて敢えて掲載させていただきました。

ヒシアマゾン

経歴などの紹介

14頭目は、1994年のエリザベス女王杯勝ち馬のヒシアマゾンとなります。

このヒシアマゾンで、エリザベス女王杯勝ち馬の紹介は最後となり牝馬クラシック勝ち馬の紹介も最後となります。牝馬クラシック勝ち馬のトリをかざるのにふさわしい牝系ですね。

ダートの新馬戦を1番人気でクビ差で制し、つづくプラタナス賞と京成杯3歳ステークス(GⅢ)を逆にクビ差の2着として、迎えたGⅠ阪神3歳牝馬ステークスにおいて、2着に5馬身差をつけての圧勝劇を見せ、一躍、同世代牝馬の代表に躍り出ます。

当時、海外で生産された競走馬(マル外)にクラシック戦への登録が認められていなかったため、明け4歳は、クラシック戦線の裏街道を進むことになります。

4歳初戦の京成杯(GⅢ)では、1番人気に推されるも、3番人気の牡馬ビコーペガサスの2着となりましたが、ここから破竹の重賞の連勝が始まります。

また勝ち方も破格で、特にクリスタルカップでは、残り100mから先頭から4馬身差があったところを差しきり、さらに1馬身の差をつけるという圧倒的な瞬発力を見せつけます。

そして、マル外にも開放されている3冠の最後の1冠のエリザベス女王杯を目標に、クィーンステークス、ロースステークスを使って、どちらも快勝し、これで重賞5連勝としてエリザベス女王杯を迎えます。

エリザベス女王杯でヒシアマゾンは単勝1.8倍の圧倒的な1番人気に支持されます。尚、2番人気は、単勝7.2倍で優秀牝馬(オークス)勝ち馬のチョウカイキャロルが、3番人気は同レースでチョウカイキャロルの2着にはいったゴールデンジャックが単勝9.7倍で続きました。

レースは、前評判通りの1番人気ヒシアマゾンと2番人気のチョウカイキャロルの直線での壮絶な叩き合いとなり、肉眼では同着と見えるほどの接戦でゴールを迎えます。

尚、3着に入ったアグネスパレード(4番人気)もクビ差に迫る接戦でした。

長い写真判定の結果、数センチ差でヒシアマゾンに軍配が上がりました。

これでヒシアマゾンは重賞連勝記録を6に伸ばし、GⅠは2戦して2勝となりました。

この年の最後は、有馬記念に出走し、この年牡馬3冠を達成したナリタブライアンと対戦を迎えます。

古馬および牡馬相手ということでヒシアマゾンは6番人気でした。

レースは、ナリタブライアンが得意の好位から直線抜け出しを図る横綱相撲を見せるところへ、これまでの後方待機からの追い込みよりも早めに仕掛けたヒシアマゾンが競り掛けて直線での叩き合いになりますがナリタブライアンが3馬身突き放して勝利しヒシアマゾンは2着となります。

ちなみに3着のライスシャワーとは2馬身半の差があり、4歳のこの2頭の強さが際立つ結果となりました。

この後、アメリカ遠征(脚部不安で帰国)や高松宮杯(GⅡ)でかかって5着になるなどちぐはぐな状況が春はつづきますが、体制を立て直した秋には再びオールカマー、京都大賞典とGⅡを連勝し復調を見せます。

この当時の天皇賞(秋)は、マル外に解放されていないためジャパンカップへ駒を進めます。

このレースでナリタブライアンについで2番人気に支持されると、当時不振に陥っていたナリタブライアンを後目に直線鋭く伸びるもドイツからの招待馬ランドに1馬身半届かず2着となりました。

続き有馬記念では1番人気に支持されるも出遅れなど精彩をかき5着に終わります。

明け6歳は、脚部不安も発症し精彩を欠き、有馬記念5着を最後に引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

ヒシアマゾンは、6頭の産駒と少なめも、そのうち3頭が牝馬であり血統的にも期待が持てます。

尚、ヒシアマゾンの母のKaties(ケイティーズ)の牝馬産駒の系統から、アドマイヤムーン、エフフォーリア、スリープレスナイトといったGⅠウィナーが相次いで輩出されており、日本の名牝の系譜といった風格が出てきています。

<系統①:ヒシシルバーメイド>

それでは1頭目、ヒシシルバーメイドの系統です。

さすがですね、JRA、地方ともに多数の現役馬がおり、また牝系をついでいけそうな馬も多数いそうです。1頭目からこれか。

<系統②:ヒシバラード>

つづいてヒシバラードの系統です。

こちらも、ヒシシルバーメイド同様にJRA、地方ともに複数の現役馬がおり、牝系としても繋がっていますね。いや恐れ入りました。

<系統③:ヒシラストレディ>

最後は、ヒシラストレディとなります。

こちら、産駒がまさにデビューを控えていますね。

また、ディープインパクト、ロードカナロア、ドゥラメンテ、スクリーンヒーローといった牝系に入っても活躍馬を出しそうな血統となっており、これらの牝馬の産駒が直近で繁殖登録されているという情報もあることからこの後の拡がりに期待ができそうですね。

これは、系譜をつなぐだけでなく、ヒシアマゾンの系譜から大物の誕生を期待したいですね。

短距離戦線に出てくるライバル牝馬

クラシック戦に出てくるライバル牝馬以外に安田記念、マイルチャンピオンシップ、スプリンターズステークスといった短距離戦に出てくる快速娘のライバル馬も手ごわかったですよね。

ここからは、実際に短距離GⅠを制覇しているライバル馬3頭を追ってみたいと思います。

ダイイチルビー

経歴などの紹介

まず1頭目は、1991年に安田記念とスプリンターズステークスのGⅠ2勝を達成したダイイチルビーです。

ダイイチルビーの母ハギノトップレディは、桜花賞とエリザベス女王杯の2冠を制した名牝です。

また祖母のイットーも高松宮杯などを制覇しており産駒にハギノトップレディ以外にも宝塚記念を制したハギノカムイオーを出すなどこちらも競走馬として母馬として優秀な実績を残しています。

この系譜の繁栄から、”華麗なる一族”と呼ばれています。

ダイイチルビー3歳は成長とトレーニングに費やし、4歳からのデビューとなります。

デビュー戦は、単勝1.2倍の圧倒的1番人気に推されての出走となりました。結果は人気に応え、スタートからハナを奪ってそのまま2着に5馬身差をつけるという圧勝劇となりました。

この快勝劇を受けて桜花賞にターゲットを絞りますがトライアルレースの抽選に漏れ出走権を取れない不運もあり、ターゲットを優秀牝馬(オークス)に切り替えます。

トライアルのサンスポ杯4歳牝馬特別を2着とし優先出走権を得ることに成功、本番に臨みます。

優駿牝馬(オークス)では、無敗の桜花賞馬アグネスフローラに次ぐ単勝6.8倍の2番人気に推されての出走となります。

レース結果は、スタートで出遅れたこともあり後方からの競馬で直線追い上げを見せますが1着エイシンサニーに6馬身差以上つけられての5着に沈みました。

夏は休養に充て、次のターゲットをエリザベス女王杯に定めトライアルのローズステークスに出ますが精彩を欠き5着に沈むと故障(フレグモーネ)を発症したこともあり年内休養となりました。

明け5歳は、マイル前後のオープン・重賞を使い京都牝馬特別(GⅢ)で初重賞制覇をした他、京王杯スプリングカップ(GⅡ)も勝ち、安田記念(GⅠ)に挑みます。

安田記念は、武豊騎乗の1番人気バンブーメモリーに次ぐ、単勝5.7倍の2番人気推されます。

このレースも後方からの競馬となりましたが、直線向いてラスト3F(600m)35.3秒の最速の上りを見せて見事に初GⅠ制覇を成し遂げます。

また1984年のグレード制(GⅠ~GⅢの格付け)導入以降で安田記念を制した初の牝馬となりました。

その後、スプリンターズステークス(GⅠ)までマイルチャンピオンシップ(GⅠ)含む3走しますが、全て2着という結果になります。

これには、安田記念で2着に来たダイタクヘリオスが台頭してきたという背景もありました。

そして迎えたスプリンターズステークス、ダイタクヘリオスが不在の中、マイルチャンピオンシップ2着のダイイチルビーと3着のケイエスミラクルで人気を2分します。

1番人気は、岡部騎乗のケイエスミラクルで単勝2.2倍。

2番人気にダイイチルビーで単勝3.0倍と続きました。

レースは、ここでも出遅れ気味に後方からの差し競馬となったダイイチルビーに対して、ケイエスミラクルは好位からの抜け出しを図る展開となります。

ところがケイエスミラクルは、道中故障を発症し失速、競争中止となる馬群を割って最速の上りを見せレースレコードを出したたダイイチルビーが2着に4馬身差をつける圧勝となりました。

この時点で史上初となる古馬混合GⅠ(牡馬と牝馬の両方が出るレース)を2勝した牝馬となりました。

年が明け6歳になっても現役を続行しますが、競走馬としてはピークを過ぎた感もあり安田記念の15着を最後に引退となりました。

【血統】

【戦績】

系譜

ダイイチルビー産駒は6頭と少なめも、そのうち3頭が牝馬であり、父がトニービンとブライアンズタイムと血統的にも期待が持てます。

さぁ華麗なる一族の系譜はどうなっているのでしょうか?早速みていきたいと思います。

<系統①:ダイイチシガー>

まずは、初産駒のダイイチシガーの系統となります。

ダイイチシガー自身も優秀牝馬(オークス)3着の実力馬ですので系譜の繁栄が期待できる!とおもっていたのですが、なんと2代目(ダイイチルビーのひ孫)の世代で途絶えていました!

ちょっと驚きの展開でしたが、全妹のダイイチビビットがいるのでそちらに期待しましょう。

<系統②:ダイイチビビット>

ダイイチシガーと同じくトニービンを父に持つダイイチビビットの系統です。

こちらしっかりと現役馬がいます。またデビューを控える牝馬もおり系譜の連なりを確認できました。

いやぁ一安心です。大物を送り出し華麗なる一族の系譜の底力を見せてほしいですね。

<系統③:アイアンビューティ>

最後は、アイアンビューティの系統です。

こちら、地方で現役の産駒がいました。

また、デビュー前の産駒に牝馬もおり、こちらも系譜を繋いでいきそうな感じです。

ダイイチビビットの系統と同じく華麗なる一族そしてダイイチルビーの系譜を盛り上げ行ってもらいたいです!

シンコウラブリ

経歴などの紹介

続いて2頭目は、1993年のマイルチャンピオンシップを制したシンコウラブリイです。

藤沢厩舎、岡部騎手、シンコウ軍団という組み合わせと黒一色の勝負服を見ると、今でも強いにきまってるやんと思ってしまいます。

シンコウラブリイはアイルランドで誕生し、視察に来た藤沢調教師の目にとまり日本に渡ってきます。

デビュー戦は、のちに主戦騎手となる岡部騎手が騎乗するシャーマンクールに次ぐ、単勝4.0倍の2番人気でしたが、好位から抜け出すと2着に4馬身差をつける快勝劇を見せます。

つづく福島3歳ステークス(オープン)では1番人気に推され、その人気に応えて好位から抜け出し追うことなく余裕をもって勝利。3歳女王決定戦である阪神3歳牝馬ステークス(GⅠ)に挑みます。

このレースでは、ここまで3戦無敗の重賞勝ち馬であるニシノフラワーが単勝1.9倍と圧倒的な人気を集めて1番人気となります。

シンコウラブリイは岡部騎手を背に、その2番手として単勝2.8倍の支持を集め、この2頭で人気を2分する形となります。

このレース、ニシノフラワーをマークする形でレースを進めるもののの第3コーナーで進路がふさがる不利もあり、外側を回して追い上げる形となり好位抜け出しでスムーズな競馬をしたニシノフラワーと鋭く伸びてきた3番人気のサンエイサンキューにも僅差で差される形で3着という結果になりました。

外国での生産馬(マル外)には、この当時、桜花賞と優駿牝馬(オークス)への出走は認められていなかったため始動は5月の牝馬限定のオープン戦のカーネーションカップからの始動となります。

このレース、蹄のトラブルの影響もあり折り合いも欠く状態で6着と着外に沈みます。

この後、態勢を整え直しニュージーランドトロフィー4歳ステークス(GⅢ)へ進みます。

このレース、メンバーにサクラバクシンオー、エリザベスローズ、ヒシマサル、エーピージェットといった重賞勝ち馬やこの後重賞戦線で活躍する馬が多数出走していきていることと前走敗戦もあり4番人気での出走となります。

このレースで2着に1馬身半差をつけ快勝とし藤沢和雄調教師に初の重賞タイトルをもたらしました。

今となっては、調教師を引退され数々のタイトルを手中にした藤沢調教師を知っていますが、このシンコウラブリイのNZT杯が初重賞タイトルだったと考えるとなんだか感慨深く感じてしまいますね。

このあとラジオたんぱ賞(GⅢ)も連勝し、夏の休養に入ります。

秋は、外国生産馬にも門戸が開かれているエリザベス女王杯に向かうかと思いきや、適性距離がマイル前後と見極めた藤沢調教師の判断でマイルチャンピオンシップへの参戦となります。

この決断には、当時いろいろな意見(大半はネガティブ)が出ていたそうです。

富士ステークスから中1週で参戦したマイルチャンピオンシップでは、単勝4.1倍の1番人気に支持されます。

レースは、2番人気のダイタクヘリオスがレース終盤早々に先頭に立ち逃げ粘りを図るところをシンコウラブリイが追い上げる展開となりますが、ダイタクヘリオスに1馬身半届かず2着という結果となりました。このあと冬と春先は休養に充てることになります。

開けて5歳の始動は京王杯スプリングカップからとなり、このレースを2着とすると、次走としてGⅠ安田記念に駒を進めます。

安田記念では、1番人気ニシノフラワー、2番人気ヤマニンゼファーに続く、単勝5.5倍の3番人気に支持されます。(尚、ヤマニンゼファーとは単勝オッズで0.1倍差でした)

レースは、1番人気のニシノフラワーが馬群に沈む中、ヤマニンゼファーとシンコウラブリイの直線の競り合いとなりますが、シンコウラブリイは伸びきれず、伏兵の14番人気イクノディクタスにも差される形で3着となりました。

この後、札幌日経オープンに出走し、久々の勝利を上げると、休養を挟んで秋に入り毎日王冠、スワンステークスとGⅡを連勝し、3連勝して、再びマイルチャンピオンシップの舞台へ戻ってきます。

レース当日は小雨の天候でしたが、レース直前に本降りとなり不良馬場でのレースとなりました。ここでシンコウラブリイは単勝2.3倍の1番人気に支持されます。

2番人気は、3.6倍のニシノフラワーとここでもこの2頭の牝馬が人気を分け合う形となりました。

レースは、不良馬場で苦戦するニシノフラワーを後目に、シンコウラブリイは好位から直線では逃げ粘るイイデザオウをとらえて1馬身強の差をつけて快勝。

自身初のGⅠ制覇を達成するとともに、藤沢和雄調教師に初のGⅠタイトルをもたらしました。

そしてシンコウラブリイ、このレースの勝利を花道として現役を引退しました。

余談ですが、この馬の戦績とここで紹介した他の名牝の戦績を見比べると、無理にクラシック戦を使わないことやGⅠ制覇直後に引退させるなど、今では、よく見る光景ですが、この当時としてはやはり異色だったのかなと感じてしまいました。

藤沢調教師の”馬優先主義”を改めて垣間見れた気がしました。

【血統】

【戦績】

系譜

シンコウラブリイは、11頭の産駒を送り出しており、牝馬は7頭と、系譜の拡がりを予感させる構成となっています。

父もサンデーサイレンス、シンボリクリスエスといった母父としても有望な血統なので期待感が一層高まります。早速見ていきましょう!

<系統①:レディベローナ>

まずは、レディベローナの系統です。

1頭目からすごいですね。中央、地方で多くの現役馬がおり、現役の繁殖牝馬やデビューを控える産駒も多数確認できました。

いやこの系統だけで、しばらく安泰じゃないかと思えるくらい拡がってますね。
お見事!

<系統②:レディミューズ>

2頭目はレディミューズの系統です。

こちらも、すごいですね。レディベローナと同じで、現役の競走馬、繁殖牝馬、デビュー前産駒がゴロゴロといますね。うーん、すごいですね。

<系統:レディクローリス>

3頭目はレディクローリスの系統です。

ここも、前2頭と似た感じです。もう驚きはないです。

うんうん。

<系統④:ピサノグラフ>

つづいてピサノグラフの系統です。

紹介順が下にいくほど繁殖として期間が短くなるので拡がりが小さくなるのは当然であり、その観点を踏まえると、前3頭とそん色ない感じだと思います。

もう驚かないぞ。

<系統⑤:サムワントゥラブ>

そして5頭目はサムワントゥラブです。

産駒が全て牡馬で残念ながら系統は途絶えていました。残念です!

<系統⑥:マザーウェル>

つづいて、マザーウェルの系統ですが、こちらもなぜか産駒は牡馬だらけ、その中で地方・中央でそれぞれ現役の産駒がいました。

牝馬がいないことで系統の拡がりは難しいと思いますが、現役の2頭には是非、活躍をしてもらいたいと思います。

<系統⑦:プレイフォーマザー>

最後は、プレイフォーマザーの系統です。

こちらまだまだ現役繁殖牝馬ですね。

産駒も現役、デビューを控えている産駒がおり、なにより牝馬も多数確認できており、この系統も今後広がるのではないかと思えますね。

もうシンコウラブリイの系譜は、しばらく安泰です。あっぱれ!

ノースフライト

経歴などの紹介

短距離戦最後は、1994年の安田記念とマイルチャンピオンシップを制覇したノースフライトです。
このノースフライトがライバル牝馬の系譜のオオトリとなります!

ノースフライトは、クラシック戦の項目で紹介した優駿牝馬(オークス)勝ち馬のライトカラーを出した大北牧場の生産となります。

ライトカラーがクラシック制覇した翌年に、社台グループの繁殖牝馬セールで大北牧場が買い取ったのがノースフライトの母馬シャダイフライトとなります。

このときシャダイフライトは、トニービンの産駒を受胎しており、この仔がのちのノースフライトとなります。

尚、このシャダイフライトの落札価格は、シャダイフライトが高齢であったこと、トニービンの産駒がデビュー前で未知数であったことからこのセールで最安値であったようです、驚きですね。

まぁ結果論ですが。

さらに、ノースフライトは買い手がつかず牧場所有馬としてデビューを迎えます。

ノースフライトのデビューは4歳の5月と遅く、桜花賞や優駿牝馬といった春のクラシック戦線とは無縁でした。

そのデビュー戦、単勝2.0倍の1番人気に支持され、人気通り2番手ついそうからあっさり先頭を奪うとそのまま2着に9馬身差をつける圧勝劇を見せます。

続く500万条件戦も単勝2.0倍の1番人気に支持され、こちらも人気通りに2着に8馬身差で圧勝します。

このレースで手綱をとった武豊騎手も能力の違いを認識するコメントを残しています。

続く900万条件戦では、発熱や蕁麻疹の影響もあり5着に沈みますが、格上挑戦となる府中牝馬ステークス(GⅢ)に4番人気で出走すると、古馬相手に3番手の好位につけて抜け出して押し切る横綱相撲で快勝、重賞初制覇を達成します。

そうして迎えたエリザベス女王杯。

GⅠ初挑戦と距離の不安もささやかれる中、単勝14.6倍の5番人気での出走となります。

このレース1番人気はトライアル含め3連勝と上り馬のスターバレリーナで、2番人気は、牝馬クラシック3冠がかかったベガ、3番人気に桜花賞、優駿牝馬(オークス)でベガの2着としているユキノビジンと続いていました。

このレース、ノースフライトは中団好位から追走し、直線向いて抜け出しを図り先頭に立ちます、しかし、その内を突いて鋭く伸びてきたホクトベガがかわしていき、結局そのままホクトベガが1馬身半先着し、ノースフライトは、2着に敗れることとなります。

その後、阪神牝馬特別(GⅢ)を1番人気で快勝し年内のレースを終了します。

2400mのエリザベス女王杯を2着、2000mの阪神牝馬特別を勝利したものの、この頃から適性距離はマイル前後という認識が陣営に出てきており年明けは、始動した京都牝馬特別から引退レースとなったマイルチャンピオンシップまでマイル路線を歩むことになります。

年明け始動の京都牝馬特別(GⅢ)、マイラーズカップ(GⅡ)を連勝し、安田記念へ駒を進めます。

この年の安田記念、上位人気には、1番人気にフランス調教馬であるスキーキャプテン、2番人気に海外招待馬であるサイエダティ、3番人気にサクラバクシンオー、4番人気に海外招待馬のドルフィンストリートと続き、ノースフライトは5番手の評価でした。

このレース、ノースフライトは出遅れ気味で後方からの競馬となります。

これが幸いしたのか、このレース、前半1000mが56.9秒という現在で見ても早いラップで進んでいき前に行った馬が総崩れになる中、ノースフライトは最終コーナーで先団に取り付くと2番目に早い上り3F(600m)35.7秒の時計で他馬を抜き去り、1番早い上りを見せた2着トーワダーリンに2馬身半差をつける快勝劇で初GⅠ制覇を成し遂げます。

国内外の強豪を倒してのGⅠ戴冠で、あらためて実力を見せつけた結果となりました。

この後、夏は休養にあて、秋はマイルチャンピオンシップを目標に前哨戦であるスワンステークスに出走します。

このレースには、スプリント王のサクラバクシンオーが出走してきおり、こちらが単勝2.2倍の1番人気の支持を集め、ノースフライトは単勝3.0倍の2番人気と、この2頭が人気を分け合います。レース結果は、この人気通りに2番手追走から早々に先頭に立ち逃げ粘りを図るサクラバクシンオーを先団好位から追走したノースフライトが追いかける展開で、そのまま1着サクラバクシンオー、2着ノースフライトという決着になりました。

そうして迎えたマイルチャンピオンシップ本番では、再びサクラバクシンオーとの対戦となり、マイルでは実績上位のノースフライトが今度は、単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持され、サクラバクシンオーは単勝3.3倍の2番人気となり、この2頭で人気を分け合う形になりました。

レースはスワンステークスと似たような展開となりましたが、マイルではノースフライトに分があり、逃げるサクラバクシンオーをしっかりと捉え、かつ1馬身半の差をつけて快勝、春秋のマイル王者決定戦を制しました。

ノースフライトは、繁殖牝馬としての期待が大きいこともあり、惜しまれつつ、このレースの勝利を花道に現役引退となりました。

関係者の意気込みから系譜の拡がりを期待できるのではないかと思います。

さぁ、それではオオトリのノースフライトの系譜を見ていきましょう!

【血統】

【戦績】

系譜

ノースフライトは9頭の産駒を送り出しており、牝馬は6頭と系譜の拡がりを早くも予感させます。

シンコウラブリイと同様に、父としてもノーザンテースト、サンデーサイレンス、キングカメハメハなど母父としても有名どこを持っており、これは期待せずにはいられません。

早速みていきたいと思います。

<系統①:フェルメールブルー>

まず1頭目は、フェルメールブルーです。

父がノーザンテースト、名前もおしゃれでこれは勝ち確だろうと勝手に妄想してましたが、妄想そのままに中央・地方で現役馬が多数おり、繁殖牝馬の現役やデビュー前産駒も確認でき、安泰な拡がりを見せてました。いいんじゃないでしょうか。

<系統②:エスフライト>

つづいてエスフライトの系統です。

こちらもフェルメールブルーと同様に拡がりまくりですね。

2頭目にしてノースフライトの系譜は、今のところ安泰確定です!
さすが!

<系統③:パピュラ>

続いてパピュラの系統です。

現役の競走馬は1頭とすくないものの、フライトゥへヴンの系統や現役にメイショウコエダが繁殖に上がる可能性もあるので繋がっては行きそうだなと思いました。

<系統④:メルヴェイユーズ>

続いてメルヴェーユーズの系統です。

こちらオーゴンカガヤキの産駒が牝馬揃いとここから系統が伸びていくことが期待できそうですね。

<系統⑤:ハウオリ>

つづいてハウオリの系統です。

このハウオリ、あの金子真人さんがオーナーだった競走馬です。

そのためかディープインパクト、ブラックタイドといった同じく金子オーナーの持ち馬だった種牡馬との産駒が多くみられます。うーん、豪華ですね。

尚、生まれてきた産駒も金子オーナーが馬主となっており、中央競馬に現役馬が多数在籍しています。

これからの系統に見えますが、なんだか爆発してきそうな予感がしています。

近々、大物が出てくるかもしれませんね。継続してウォッチしていきたいと思います。

<系統⑥:ミラクルムーン>

最後は、ミラクルムーンの系統です。

ミラクルムーン、残念ながら牡馬の産駒のみで、亡くなったしまったようで系統が途絶えていました。

ミスタープロスペクター系の系譜で面白いと思っていたのですが残念です。

しかし、6系統中5系統が伸びているというのは、さすがノースフライトという感じでした。

まとめ

今回、ダビスタ96に出てくるライバル馬の牝馬に関して系譜の連なりを確認してみました。

やはり、一流の活躍馬だけあり、以前に調べた初期繁殖牝馬(初期牝)のモデル馬の系譜を調べ時に比べて段違いに系譜の拡がりがあり、JRA、地方競馬含めて現役馬も数多く存在することが確認できました。

とはいえ、キョウエイタップのように系譜が途絶えているライバル馬もいることが確認でき、海外からも多くの繁殖牝馬が入ってきていたり、また牝馬の産駒に恵まれないなどで実績十分なライバル牝馬であっても、系譜をつなぐことは容易ではないということも認識しました。

この後も時間があれば定期的にウォッチしてアップデートしていきたいと思います。

ダビスタ96に登場する、初期繁殖牝馬(初期牝)の系譜も調べています。
こちらも是非ご覧ください。

※馬券は20歳になってから。馬券は程よく楽しみましょう。

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