中央競馬(JRA)では、2023年現在、年間3,456レースが開催されています。
毎週土曜日・日曜日には、2ヵ所または3ヵ所の競馬場それぞれで1日に通常12レースが組まれています。つまり1日24~36レースが組まれていることになります。
これだけあるレースにやみくもに手を出すことは負ける確率を高めるだけとなります。
なぜなら、馬券購入額の20~30%は運営元(つまりJRA)側の取り分となっているからです。
また現実問題として、プロ馬券師でもない限り全てのレースを予想する時間は取れないと思います。
よって、なんらかの方法で、勝負するレースを絞っていく必要があります。
ここでは、勝負レースを決める、つまりレースを絞る方法を考えてみたいと思います。
勝負レースを決める必要性
冒頭で、現実問題として全てのレースを予想することは、趣味レベルでやっている人には難しいこと、そもそも馬券は、馬券を購入する側(全体として)が一定、損をする構造になっているので、数増やせばその分負ける確率が高くなることを述べました。
ここでは、もう少し、この勝負レースを決める必要性つまり目的を少しだけ深堀りして言語化してみたいと思います。
勝負レースを決める目的は、次の2点であると考えています。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
回収率の目標を達成するため
まず、「回収率の目標を達成するため」ですが、これを考えるにあたって、逆の回収率目標を達成できない、つまり回収率を下げるケースを考えてみます。
これには、次の2つの観点があるかと思います。
- コースや出走馬など自分の中で情報が少ないレースに手を出す
- 目標とする回収率に届かないレースに手を出す
まず、1点目ですが要は根拠がないレースを衝動的に買ってしまうケースです。
自分自身で根拠がないので、新聞などの予想や勘で決めエイヤで馬券を購入するケースです。
たまに当たることもあると思いますが再現性がありません。よって長続きすることないと思います。
次に2点目ですが、これは自分なりに予想をしっかりとして勝負に臨むケースになります。ただし予想した買い目のオッズが想定よりも低い(人気サイドだった)場合です。
的中しても旨味がなく割に合わない勝負になることが分かっていても、せっかく予想したのだから、当たれば多少なりともプラスになるよなということでつい勝負をしに行ってしまうというケースです。
これを繰り返してしまうとトータルで見た時の回収率は確実に下がっていきます。
そもそも馬券は、馬券を買う側(全体として)が一定負ける構造になっているため、上記のような行動を行えば、負けが込む可能性がより高まります。
こういったことを回避するために、しっかりと勝負するレースを見極める必要があります。
早期に資金が尽きてしまわないようにするため
やみくもに勝負すると回収率が下がる、つまり資金が減っていくことは、上で述べた通りです。
もう一点、気を付けなければいけないのが勝ったあとのふるまいです。
勝った後は、つい勢いで目の前のレースに手を出しがちになります。
しかも、普段はしないような強気な買い方をしたりしてしまいます。
そうこうしているうちに勝ち分を一瞬で溶かしてしまうのです。
勝ったのに、その週や月でみたら回収率が変わらない不可解な現象あるあるですね。
やはり勝負するレースの軸をしっかりと持っておき、勝ったと浮かれてあれこれと手を出さないようにすることが大切です。
勝負レースの決め方
勝負レースの決め方は、いろいろな観点で、それこそ人それぞれに無数にやり方があると思います。
ここでは、個人的に考える代表的な絞り方を紹介したいと思います。
重賞などのメインレースに絞る
たまに馬券を買ってますという方は、重賞などその日のメインレースだけ買ってますという方が多いのではないかと思います。
とりわけ注目度の高いGⅠレースだけやってますという方もいるのかなと思ったりします。
メインレースは、各会場で各日に1レース、稀に2レースが組まれており1日に大体2、3レースほど開催されています。つまり土日で4~6レースとなり自然と勝負レースを絞ることができます。
この方法、レース数を十分に絞れるだけでなく次のようなメリットがあると考えています。
まず有力馬を中心に出走馬に関する情報が他のレースと比べて多く出てきます。
さらに情報自体も比較的、早い段階で出てきます。(特にGⅠなど)
これによりじっくりと検討する時間を取ることができます。
この絞り方で難点があるとしたら、ハンデ戦や2歳馬・牝馬などの限定戦など自分が避けたい条件や検討の結果見送りとするレースが出てくると勝負できるレースが少なくなりすぎる可能性があります。
また、過去データで予想を組み立てるスタイルの場合、サンプルとするレース数が少なくなる点もあります。(基本重賞・オープンレースで同条件のレースは年に1回なので)
曜日や午前/午後で絞る
上記のメインレースだけから少し対象を広げ、基本的にその週のメインレースが組まれている午後や日曜日を中心に攻めるという方法となります。
たとえば、日曜日の準メインともうひとレースくらいを対象に入れると全体で6~9レースほどが対象となります。さらに土曜日も同様に設定すると倍のレースが検討対象に入ってきます。
これで十分な勝負レース数を確保することができるかと思います。
メインレースで絞るやり方にも当てはまりますが、このやり方では、午前中や前日のレース内容から馬場の状態を把握できるメリットがあります。
一方、3場開催(同日に3つの競馬場でレースが開催されている)週では、1日1会場につき3レースを検討対象にした場合、土日で18レースが対象になります。
そもそも、その中でどれを勝負レースとするかという検討や見極めに時間が取られる可能性があります。
(絞りとしては若干弱いかもしれません)
競馬場で絞る
自分がよく勝負する競馬場、相性がいい競馬場があれば、そこで絞るという方法になります。
競馬場を絞ることで3場開催などの場合でも3場全てを検討対象としないで自分が軸足を置く競馬場だけに集中することができます。
また未勝利戦/条件戦などは、出走馬が東京競馬場や中山競馬場といった東の会場では美浦所属馬が、京都や阪神の西の会場では栗東所属馬が多く参戦してくるため、軸足を東西で絞ったほうが効率よく知見を蓄積できるメリットもあると思います。
このやり方で考慮すべき点は、1年を通してレースを開催している競馬場は無いという点です。
年間通してコンスタントに愉しむためには、いくつかの競馬場をピックアップして組み合わせる必要があります。
上記で記載した東京競馬場、中山競馬場、京都競馬場、阪神競馬場は4大競馬場と呼ばれていたりするメインの競馬場となります。
通常、秋(9月)~翌春(6月)までは、上記4会場のどこかでレースが開催されています。
夏(7、8月)は、函館競馬場と札幌競馬場の北海道でのレースが組まれています。
これらに加え、年間を通して福島競馬場、新潟競馬場、中京競馬場、小倉競馬場のローカル開催がメイン会場に比べ開催日数は少ないですが開催されます。
基本的には、東西どちらかのメイン競馬場に軸足を置きつつ、函館・札幌の夏競馬を組み込めば、年間を通した勝負ができます。
【2024年の開催日程】
コースで絞る
競馬場で絞ることと合わせ技になりますが各競馬場で開催されるレースで使われているコース(例えば芝2400mやダート1600mなど)で絞るという方法となります。
コースには、芝/ダートの違いや距離の違いといった、ある程度どの競馬場でも共通的に影響を与える要素から各競馬場のコース固有の特性(特徴)が存在します。
このコース特性は、レース結果に大きな影響を与えるものと考えています。
コースで絞る方法は、このコース特性の知見を効率よく蓄積できるメリットがあります。
また、コースにより比較的堅く収まる傾向があったり、荒れやすい傾向があったりと配当傾向に違いがでてきます。
例えば、芝/ダート問わず短距離レースより中長距離レース(ハンデ戦除く)は比較的堅く収まる傾向があるといったものです。(あくまで傾向であり、必ずそうなるというものではないことにご注意ください。)
このようなコースの特性による配当傾向を踏まえて、堅実に当てていく、大穴狙いなどの自分のスタイルにあったレース選びをすることができるのもこの方法のメリットだと考えます。
マークしている馬が出走してきたレースに絞る
基本的には、前走または近走馬券圏内(3着以内)に入ってないが、巻き返しが期待できる馬を見つけてその馬が出走してきたレースを狙うという方法になります。
負けた原因が明確で、それが解消される可能性あるレースに出てきている出走馬を狙うとなりますが、分かりづらいですよね。
例えば次のようなケースがあると考えています。
- 前走不利を受けて惨敗している
コース幅が広い、ペースが早くなるなどで馬群がばらけそう、中枠から外枠に入り包まれる心配がないといった条件下で挽回する可能性があります。 - ダートレースにおいて内に包まれて砂を被り走る気を無くして惨敗している
中枠から外枠に入り、内に包まれる心配がない条件下で挽回する可能性があります。 - 小回りコースで直線伸びてはいるがコーナーリングが下手で惨敗している
コーナーが緩く直線が長いコースで挽回する可能性があります。 - 逆にコーナーリングはうまいが、直線で力尽きて惨敗している
ローカルなどの小回りコースで挽回する可能性があります。 - 特定のコース以外では惨敗している
リピーターてやつですね。得意コースで挽回する可能性あります。
上記のケースに当てはまる馬を見つけた場合、惨敗原因を解消できるレースに出てきた場合、巻き返しが期待でき、かつ前走(近走)凡走しているように見えることから人気も下がりうまみのある馬券になることがあります。
特に未勝利戦や条件戦などでこのケースを発見すれば、次走も同じ条件(クラス)のレースに出てくるため挽回する可能性が高くなると思います。
この方法は、ハマればかなりおいしい馬券を取ることができるのですが、そもそもケースに合致する出走馬を見つけるために沢山のレースを見る必要がありますし、敗因もいろいろな要素がありこれだけが敗因だと分かりやすケースも少ないので探すのが一苦労というところはあります。
また、合致するケースを見つけたとしても、次回出走時の調子、相手関係や馬場状態など全く同じ条件にはならないので、そのあたりを見極める必要も出てきます。
ということで、これが出来たら苦労しないよねという難しさはあります。
ただ自分が観戦したレースで、こういったケースに該当する馬を探そうと努力することが大事だと考えています。この努力が次に勝つ確率を高める事につながると考えています。
尚、時間が取れるならば勝負すると決めたレースの出走馬に関して前走レース映像は見ておくと何か気づきを得られることもあるかと思います。
予想が難しいレースを切る
ここまで、絞る、つまり数多くあるレースの中から選び出す観点でいろいろな方法を記載してきましたが、これは消すという方法となります。
ここは、かなり個人的な経験や嗜好も含まれるので、軽く参考までにみていただければと思います。
予想が難しいレースとして、次があると個人的に感じています。
- ハンデ戦(特に牝馬限定ハンデ戦)
- 2歳馬限定戦(特に新馬戦)
- 不良馬場などの特殊な馬場状況
ハンデ戦は、そもそも力が均衡するように仕向けられたレースなため難しさがあります。
それ以外は、結局、参考となるデータが少なすぎて判断がしづらいことが要因となります。
くどいようですが、上記はあくまで個人的な相性もあると思います。人それぞれで得意・不得意があるのではないかと思っています。
なので、最初からこれと決めてそれをずっと守るというより、自身が勝負していく中で苦手とするレースの共通点はないだろうかと振り返ってみてチューニングしていくことが大事だと考えています。特になければ無いでもいいと思います。
いずれにせよ絶対に手を出さないレースを明確にしていく活動を続けることが大事かなと考えています。
1日あたりの勝負レース数
勝負レースを絞る必要性や絞り方がなんとなく分かったとして、それでは一体、一日に何レースくらいに絞ればいいのでしょうか?
これは、人によって違う、というか使える時間によって変わると考えています。
もちろん時間なんて、その日に競馬新聞買ってパドック見てさっと買いますというスタイルでいけばさほど時間をかけずに多くのレースで勝負ができると思います。
ただこのスタイルでそれなりに的中させるのは、なかなか難しいのかなと考えています。
自分なりに予想し、そのレースに参戦すべきかどうかを見極めるをすると、それなりの時間がかかります。よって、この準備に要する時間と使える手持ち時間で勝負レース数が決まってくると考えています。
ちなみに自分だと、素人の適当予想ですが、1レースあたり1時間~2時間くらいはかけていると思います。尚、これは過去データの整理を別でやっており、そのデータが手元にある状態が前提となります。
なので、この事前作業分をいれるともっとかかっていることになります。
結果的として土日合わせて、4レースくらいが限界だと感じています。
尚、以前に興味本位でnetkeibaが主催している誰でも無料で参加できる予想大会『俺プロ』のランキング上位者(回収率が高い人たち)がどのような買い方をしているのかを調べた中でレース数としては、1日平均4レース、中央値で2レースという調査結果でした。
しっかり予想して、絞って勝負するなら1日あたり1~4レースくらいかなと個人的に考えています。
まとめ
まず、そもそも勝負レースを決める目的は、次の2点となります。
勝ち目の薄いレースに手を出さず勝てる確率を高めていくこと、そして勝った場合にも浮かれて勢いで無計画な勝負に出ないよう自制するためにも勝負レースを決めていくことが必要です。
勝負レースを決める(絞る)方法には、次にような方法があると考えています。
- 重賞などのメインレースに絞る
- 曜日や午前/午後で絞る
- 競馬場で絞る
- コースで絞る
- マークしている馬が出走してきたレースに絞る
- 予想が難しいレースを切る
上記をどれか1つではなく、複数を組み合わせて自分に最適な勝負レースというものを見つけていくこと、そしてそれをチューニングし続けることが大事だと考えています。
尚、1日あたりの勝負レース数の目安は、人によって変わります。
それを決める要素は、1レースあたりの予想にかかる時間と競馬に投入できる時間によると考えています。
個人的な経験則でいけば平日の夜や休日の一部の時間しか使えないため、1日あたりせいぜい1~2レースくらいが限界と感じています。(あくまで個人の感想です)
以上ざっと説明しましたが、自分なりの勝負レースの見つけ方は、ここで紹介したもの以外にもいくつもあると思います。
方法論を知って活用することは大事ですが、まず何よりも決める(絞る)目的を忘れず常に自分のスタイルにあった、あるいは得意なレースの特徴てどんなものなんだろうかを考え工夫し続けることが大事だと考えています。
一見メンドクサイ作業に見えますが、これも競馬の醍醐味の一つですよね。
ということでとりあえず競馬を愉しんでいきましょう。
※馬券は20歳になってから。馬券は程よく楽しみましょう。